国際コンクールは遠い目標?

国際コンクールがいくつ開催されているかご存知でしょうか?
ピアノだけでも300以上です。有名なチャイコフスキーコンクールや
ショパンコンクール、ジュニア部門を併設したもの、アマチュアを
対象にしたものまで様々です。

日本からヨーロッパに講習会を受けに行く人は多いのに、
コンクールとなると二の足を踏まれる方が多いのは残念に思います。
国際コンクールと聞くと、ショパンコンクールのような大きなものを
想像して、自分には無理だと思われるのかもしれません。

実際はジュニア部門では、ピティナの課題曲位の曲数で受けられる
国際コンクールもあります。ただ、国内とは審査傾向が大きく異なります。
一般(大学生以上)のコンクールは、リサイタル(ソロかハーフ)が
出来るレパートリーと集中力がある事が出場の目安となるでしょう。

 10歳前後の部門の様子

国際コンクールと国内コンクールの違い

・曲の自由度が高い
「古典派のソナタ」、「20世紀の曲」などというように
時代指定はしても曲までは指定しないことが多いです。
自分が得意で且つ点が取れるプログラムを組むことが大事です。
曲の流行廃りもあります。プログラミングが結果を大きく左右します。

・審査の基準
上手いけれどCDのコピーのような演奏にはいい評価が出ません。
国内のコンクールではそのような演奏にも結構点が出るのですが…。
教えられた事を自分なりに咀嚼した、自発的な演奏であることが
重要です。その参加者が何を演奏に表したいのか明確であれば、
好意的に聴いてくれる事が多いです。
審査員と言っても聴き手ですから、
「この参加者の演奏をもっと聴いていたい」
と思っていただけたら良いですね。

又、「基礎が大切」という認識は万国共通だと思いますが、基礎とは
何を指すかは各国により異なります。それを念頭に、楽譜をよく読み
合理的に自然に弾く事が良い評価に繋がります。

・人としても見られる
国内コンクールの審査項目に「人間性」とは絶対書いてありません^^;
海外でも明文化はされないにせよ、実際にはある審査員が
「あの人、感じ悪いわ。上手いけど1位には推さなかった」などと
仰っていたことがあります。

親類や友人には便宜を図るのが当たり前という国もあり、
審査員や主催者と仲良くなると、練習室を貸してくれたり、
食事に誘ってくれたり、弾く順番を変更してくれたり(!)する事も
あります。
こういった目的で近付いたり媚を売るのは逆効果ですが、挨拶や
会話を通してお互いが人として好意を持つのは良い事です。
もちろん、感じが良ければ・仲が良ければ入賞出来るわけではなく、
上手く演奏し、順位を他の人と競っている時に、このような要素が
持ち出されてくるわけです。

・会場の雰囲気
これはその国・街によって異なります。街ぐるみでコンクールを
バックアップしてくれる所もあり、そんなコンクールでは弾く側まで
テンションが上がります。異国の地でお世話係の方たちが
良くして下さることは、本当に心強く有難いです。

演奏にはメンタル面が大きく関わりますから、満席でお祭りのように
盛り上がる会場で弾くのと、関係者ばかりのガランとした会場で
弾くのでは気分が全く違います。
ガラコンサートは大抵地元のメディアが入り、華やかに行われます。

・運営
国内コンクールでは事前に参加票やスケジュール表が送られてきます。
国際コンクールでは近くなったら自分でスケジュールを問い合わせます。
それでもその通りに進行することは少なく、予定より何時間も前に
弾かされることも…。そんなアバウトな運営ですが、逆に考えると
融通が利きます。駄目元で希望を伝えると、叶えられることもあります。

・他の参加者と
予定通りの時間に進行される日本のコンクールでは、特に他の参加者と
話す必要がありません。しかし海外では上記のようにアバウトですので、
「何時に始まるのか」、「練習室の割り当てはどうなっているのか」、
「近くに食べる所はないか」など分からない事が色々出てきて、
参加者同士で情報交換することになります。そのまま一緒に食事したり
相手の国の話を聞いたり(多国籍です)…こういった事も国際コンクールの
面白さです。

 雰囲気が伝わる集合写真

Q&A

Q.どこでどんなコンクールが開かれているか分かりません。
A.国際コンクールの予定一覧が載ったサイトが複数あり、そこから
  各コンクールの情報を検索出来ます。
  私からも本人に合うコンクールを助言します。

Q.英語は通じますか?
A.英語圏以外ですと、西欧・北欧は通用度が高いです。他でも運営に
  1人は英語を話す方がいらっしゃる事が多いです。

Q.どれくらいの実力があれば出られますか?
A.書類審査のあるコンクールは他の国際コンクールの賞歴がないと
  参加が難しいです。書類審査のないコンクールは年齢制限をクリア
  していれば誰でも参加出来ますが、実力の目安は、ジュニア部門なら
  ピティナの本選入賞程度、一般部門ならハーフ以上のリサイタルが
  出来る事が目安と思われます。

  アマチュアの方は国際アマチュアコンクールの他に、年齢制限の
  上限のないコンクール(プロ・アマ区別なし)に参加する事も出来ます。
  これには現役ピアノ講師の方も参加出ます。

  ※ピティナを目安にしているのは、大抵の国際コンクールでも
   ピティナのように時代別に数曲弾く必要があるためです。
   ピティナの参加経験が必要という意味ではありません。

Q.子どものうちから出るのは早すぎませんか?
A.西洋発祥のクラシック音楽が現地でどのように弾かれ、聴かれて
  いるのかを体験する有意義さに、早すぎるという事はありません。
  逆に、音大を出てから自分の周りの演奏と外国人の演奏の違いを
  認識して、それから改善しようとすると時間がかかります。

Q.わざわざ海外まで行って落ちたら恥ずかしいです。
A.結果にかかわらず、その経験は今後ピアノを弾いていく上で
  プラスになります。落選しても恥ずかしく思う必要はありません。
  どうしても何か欲しい方は、参加者全員にディプロマを出す
  コンクールを選ぶことも出来ます。稀にそういったコンクールもあります。

Q.開催地がガイドブックに載っていなくて、行き方が分かりません。
A.大手旅行会社では観光地(主に大都市)しか取り扱っていないことが
  多いですが、今は飛行機もホテルもネットで検索して予約出来ます。
  私は旅行の計画を立てるのが好きなので、この点お手伝いします。
  また、主催者に頼めば大抵ホテルを斡旋してくれます。

Q.保護者が付いて行ったほうがいいですか?
A.高校生までは付き添って下さい。大学生からは海外旅行の
  経験によってご判断下さい。

Q.どうやって申し込むのですか?
A.大抵のコンクールは公式サイトを持っていて、要項と申込書が
  載っています。申込書を印刷して記入し、参加費の領収書、
  その他必要なもの(写真、パスポートのコピーなど)をスキャナーで
  読み込んでメールに添付あるいはFAXで送ります。郵便は紛失の
  おそれがあるためお勧めしません。
  書類審査がある場合は、録音や推薦書が必要です。

  参加費は銀行か郵便局から国際送金します。銀行によっては
  ネットバンキング出来る所もあります(シティバンク、三菱東京UFJ銀行
  など)。申込書の記入が分からない方には私がお手伝いします。

inserted by FC2 system