大人の趣味として

数年前からあちこちに「大人のピアノコース」が出来、
大人のピアノ学習者が倍増しました。昔から続けている方、
一度辞めて再開した方、初めて弾く方‥と幅広い層です。
私も数年前からそのような方たちと知り合うようになりました。
皆さん共通の思いは「ピアノが好き」ということ。保護者から
勧められて習い始めるのではなく、ご自分で興味を持って
弾いているからですね。

大人の方のピアノに対するお悩みで特に多いのは、
仕事や家事のため毎日同じ時間練習出来ないという事と、
目標や憧れは明確なのにその理想と自分の演奏に大きな
ギャップがあるという事のようです。

弾きにくい箇所をただ何回も反復練習するのでは根本的な
解決になりません。そこでは5指の中のどこに重さがかかるか、
手首の位置は適切か、身体のどこを使って弾くのか、など
弾き方そのものを理解すれば、練習がはかどります。
大人の方のレッスンでは、限られた時間の中でも効率的に
上達出来る練習方法を身に付けて頂く事を重視しております。
※身体や手には個人差がありますが、要点は共通します。

大人の方が有利な点に頭脳が挙げられます。
音楽関係の書物を理解出来ることは大人の強みです。
ただここで私が危惧していることがあります。本の内容を
誤解してしまうことも時々あり、独学の場合、
訂正される事なくそのままになってしまう恐れがあります。

例えば以前、ある方から脱力について訊かれたことがありました。
その方は文字通り、手と腕の力を完全に抜こうとしていました。
無駄な力を抜く事は必要ですが、全ての力を抜いてしまうと
タコやイカのようにフニャフニャになってしまい、音が鳴りません。
音を作るには指先と手首、肘に常に意識を行き届かせておきます。
誤った練習をすることは上達の鈍化だけでなく、指を痛める
場合もありますので充分ご注意下さい。

子どもの趣味として

ピアノの曲は300年程前から現代まで、ヨーロッパをはじめ
世界中で作られています。昨今の子ども達は学校以外にも塾や
他の習い事で忙しい日々を送っています。その分ピアノを弾く時間は、
その曲が作られた時代や場所にタイムスリップしたような気分で、
リフレッシュしながら上達していって欲しいと願っています。

趣味は優先順位が低いですから、殆どの場合、受験や部活を機に
レッスンを中断してしまう事になります。その後、大人になってから
スムーズにレッスンを再開したり、独学でもある程度の曲を弾けるよう、
確かな読譜力と癖のない奏法を身に付けられるよう指導しています。
又、良き聴衆として、音楽を聴く事の好きな感性豊かな人に育って
欲しいと思います。

コンサートを聴く時、弾いた事のある曲や知っている曲があると、
聴き方が積極的になります。それをきっかけに、同じ作曲家の
知らない曲も聴いてみたり…。聴く曲のレパートリーが広がります。
希望者には私との連弾で有名な曲(他の楽器やオーケストラの曲、
バレエ曲など)をレッスンに取り入れています。※大人の方も同様。
知らなければ長いと思ってしまう曲も、編曲であれ弾いた事があれば
あっと言う間です。

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